10月の誕生石「トルマリン」〜Tourmaline〜
トルマリンとはどんな宝石？
無色から濃色まで多彩なカラーバリエーションを持つトルマリン。トルマリンの語源はスリランカ語の「トルマリ」で、これは「多くの色を持つ」という意味です。その豊かな色合いは存在しない色がないといわれるほどで、中には一石の中に複数色を見せるものもあります。
トルマリンの和名は「電気石」で、加熱によって静電気をおこすという性質を持っています。トルマリンはいくつの成分や元素が入り混じった複雑なケイ酸塩化合物のグループ名ですが、レッドトルマリンはトルマリンの中でも「エルバイト」と呼ばれる鉱石で、リチウムを含有するリチア電気石の一種になります。
トルマリンの仲間にはその特徴的な色合いから特別な名前がついているものがあります。たとえばルベライトとはマンガンを含んで赤く色づいたトルマリンのこと。マンガン含有量が少ないとピンクに近い色味となり、ピンクトルマリンとして区別されています。真紅のものや、クランベリー色のものが高級とされています。赤系のトルマリンには、淡いピンクから深い赤まで豊かなグラデーションがあります。また、鮮やかなネオンブルーのものはパライバトルマリンと呼ばれ、たいへん人気があります。一つの結晶の中に複数の色が現れているものはバイカラートルマリン、スイカのようにピンクとグリーンの色を示すものはウォーターメロントルマリンと呼ばれています。
トルマリンの歴史
1500年代にブラジルで発見された明るく輝く宝石はエメラルドと混同されました。1800年代に科学者が異なる鉱物種としてトルマリンを認識するまで、その混同は続きました。ルビーと誤認されてきた歴史もあり、世界最大のルビーとしてロシアのロマノフ王室が保有していた260ctを超える「いちごの彫刻」は、1925年にルベライトであると判明するまではルビーと信じられていました。
1800年代終盤にはトルマリンは、ティファニーの宝石鑑定士、ジョージ・F・クンツの努力によってアメリカの宝石として知られるようになりました。当時のトルマリンの最大市場は中国でで、カリフォルニア州サンディエゴ郡から採れたピンクおよびレッドのトルマリンの多くは、中国の皇后がその色を特に好んだため中国に出荷されました。中国政府が1912年に崩壊したとき、米国のトルマリン取引も崩壊し、ヒマラヤ鉱山は大量生産を中止しました。
20世紀の前半、ブラジルでいくつかの大きな鉱床が発見されたことからトルマリンの供給は拡大し始めました。1950年代からは世界中の国々で発見され、特にマダガスカルとアフガニスタンは、上質のレッド・トルマリンを生産してきました。
1980年代にブラジルのパライバ州で発見されるやいなや、美しく不思議なネオンブルーに世界中が魅了され、大人気となったパライバトルマリン。34種からなるトルマリン族の中でもっとも希少性の高い宝石です。南の島のサンゴ礁の海を思わせる独特のグリーンがかったブルーの発色は銅の含有によるもので、インクルージョン（内包物）が少なくテリと発色の良いものが高品質とされています。
| 鉱物名 | エルバイト |
| 分 類 | ホウ酸ケイ酸ナトリウムアルミニウム |
| 組 成 | Na(Li,Al)3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4 NaMg3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4 NaFe3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4 |
| 硬 度 | ７ |
| 比 重 | 2.9-3.1 |
| 屈折率 | 1.61–1.67 |
| 結 晶 | 三方晶系 |
| 誕生石 | 10月 |
| 和名 | リチア電気石 |
| 石言葉 | 気品・幸福・聡明 |
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