4月の誕生石「モルガナイト」 〜Morganite〜
モルガナイトの歴史
モルガナイトの名前の由来はあの有名な銀行家
モルガナイトの名前は20世紀初頭、熱心な宝石コレクターだった銀行家のJ.P.モルガン氏にちなんで名付けられました。
1910年にローズベリルが発見されたマダガスカルが、新たな産地として注目を浴びました。
アメリカの鉱物学者のクンツ博士がこの石を、彼の友人であるアメリカの銀行家 J.P.モルガンの名誉を称えるために「モルガナイト」と命名することを、ニューヨーク科学アカデミーの会合で提案しました。
J.P.モルガンは1900年代初頭において最も重要な宝石コレクターの一人でした。
彼の宝石コレクションの一部は宝石商のティファニーと、そのチーフ宝石鑑定士を務めていたクンツ博士によって組み立てられていました。
モルガナイトを取り入れた装い
日本人の肌によくなじむ桜色のモルガナイトは、近年人気の宝石で、2021年に新誕生石に加えられてからは、ますます注目が集まっています。
デコルテに瑞々しい輝きを添えるペンダントやネックレスのほか、自分で眺めて癒されることのできるリングに取り入れる人が多いようです。
吸い込まれるような透明感と、美しい微妙なピンク色の一粒は、いつまで見ていても飽きない魅力に満ちています。
ゴージャスなきらめきを持ち、ドレスアップに似合うジュエリーですが、比較的硬度が高く耐久性もあることから、毎日の装いに取り入れやすいのもポイントです。

モルガナイトの産出地
現在市場に出回るモルガナイトのほとんどは、ブラジルのミナスジェライス州にあるペグマタイト鉱床から産出したものです。
マダガスカルの鉱山は今も良質の原石を産出していますが、この地で採れる赤紫色の原石は、他の産出地よりも優れたものでした。
他の産出地であるアフガニスタンやモザンビーク、ナミビア、アメリカでの産出量は小規模で、供給は安定していません。
モルガナイトの原石の大きさ
ペグマタイト鉱床で発見される多くの宝石と同様に、モルガナイトの結晶には非常に大きなものがあり、ブラジルでは10キロ以上の重さのものが産出されたこともあります。
最大の標本の1つは、1989年の10月7日にアメリカ北部のメイン州バックフィールドのベネット採石で発見されました。
ややオレンジがかった色合いで、長さはおよそ23センチから30センチあり「メイン州ローズ」と呼ばれました。
ワシントンD.C.にあるスミソニアン学術協会のコレクションには、ファセットカットされた236カラットと250カラットの重さのものがあります。
モルガナイトのピンク色の秘密
モルガナイトの淡いピンクの色あいは、微量のマンガンによって生じますが、モルガナイトには多色性があり、微かに黄味がかった淡いピンク色と、深い青味がかったピンク色を示すので、カットする際に原石の方向を慎重に見定めて加工されます。
一つの結晶の中に2色が存在するバイカラーや3色のトリカラーの個体もあります。
強い色が見られることは稀で、一般的に大きい石で最上品質の色が見られます。
モルガナイトと同じベリルの仲間
モルガナイトと同じベリルの仲間には、エメラルドやアクアマリンがありますが、幅広い色調を示すのがベリル特徴の一つです。
パステル系の緑っぽい青から青のアクアマリン、赤いレッドベリル、緑のエメラルド、ホワイトベリルとも呼ばれる無色のゴッシェナイト、黄色がかった緑のヘリオドールなどが代表的で、その他の色のものについてはイエローベリルなど、ベリルの前に色の名前をつけて呼んでいます。
ベリルの仲間には、交差した光の筋が宝石の表面に現れるスター効果や「シャトヤンシー」とも呼ばれる猫の目のような一条の光が現れるキャッツアイ効果などを見せるものもあり、それぞれの特質に合わせたさまざまなカットを施されます。
また緑のベリル、エメラルドにはトラピッチェという亀の甲のような模様を持つ珍しいものもあります。
ベリルの名前の由来は古代ギリシャ語で海水の高貴な青緑色を意味する「ベリロス」に由来しています。ベリロスは、もともとは緑色の宝石すべてを指す言葉だったといいます。
ベリルは通常、プリズム状の完璧な六方晶系六角柱状をしています。
非常に大きな結晶も多く、大きなものは8メートルもありますが、中にはきちんとした結晶になっているものも確認されています。
ただ、ジュエリーに使えるだけの品質を持っているものは限られています。
