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ウォッチブログを担当しています佐瀬雅晴です。いつもブログをご覧頂き、ありがとうございます!
1960年の誕生以来、数々の名作を生み出してきたグランドセイコー。世界最高級の腕時計を作るというミッションのもと、つねに最先端の技術とゆるぎないクラフトマンシップによる高性能で高精度な製品を世に送り出してきました。腕時計の本質を高い次元で追求し続け、それぞれの時代において最も優れた腕時計を製作してきたのがグランドセイコーであり、その伝統と品質は今日まで受け継がれています。
国内最高峰ブランドを目指して
グランドセイコーは1960年に誕生しました。発端は、1954年に発表した「セイコーマーベル」です。当時は時計本場スイスの後塵に拝していた日本の時計業界。スイス時計に対抗すべく独自の思想をもとに諏訪精工舎によって生み出されたのが「セイコーマーベル」でした。大人気となったマーベル誕生から3年後には、更なる精度を追求した「セイコークラウン」が発表されます。「セイコークラウン」が初代グランドセイコーのベースとなるモデルとなり、「セイコークラウン」に特別な仕上げが施されたのが、初代グランドセイコーです。独自の思想を反映させたデザイン、そして、スイスのCOSC(公式クロノメーター試験機関)と同格の基準を設けたテストをクリアしたという「歩度証明書」を付けて初代グランドセイコーは販売されました。
セイコースタイルの誕生
グランドセイコーの誕生から4年後の1964年に誕生したのが「グランドセイコー セルフデーター」です。初代との大きな違いは2点。①早送り修正機能付きのカレンダー表示機能②5気圧防水機能が搭載され、より実用的なデザインへと進化しました。
そして、グランドセイコーにとって大きな分岐点となるシリーズが発表されました。それが、「グランドセイコー44GS」の誕生です。諏訪精工舎ではなく、第二精工舎(現セイコーインスツル)によって製作された44GSは、5振動の手巻時計として、当時の最高精度を誇りました。精度のみならず、現在のグランドセイコーにも踏襲される独自のデザイン思想を言語化した「セイコースタイル」を確立されたモデルと言われています。
セイコースタイルは、日本人が好む「光」と「陰」の調和を軸としたデザインを実現させるために、3つのデザイン方針とそれぞれの方針から考えられた9つのデザイン要素を独自に定義しています。最たるものの例としては、多面カットされて視認性を向上させたインデックスと太い時分針・極力歪みをなくした鏡面研磨とザラツ研磨などがあります。44GS以降、どの時代のグランドセイコーにおいても普遍的な趣を感じさせるのは「セイコースタイル」の確立が大きな影響を及ぼしています。また、44GSの誕生以降は、毎年のように新モデルを発表していきました。
国産機械式腕時計への矜持
44GSの同年に発表されたグランドセイコー初の自動巻きモデル「62GS」これを皮切りに、諏訪精工舎と第二精工舎が競い合うように生み出した新たな技術が搭載されるようになりました。
1968年「61GS」
国産時計として初の10振動の自動巻きのハイビートモデル。巻き上げ効率を向上させるために独自の巻上げ方式マジックレバーを搭載。
1968年「45GS」
第二精工舎製。10振動の手巻モデル。従来より薄型を実現させ、安定した高精度を誇る。グランドセイコー初の瞬間日送り機能も搭載しています。
1968年「19GS」
初の女性用10振動の手巻モデル。キャリバー1944をベースにさらに精度が向上しました。
1969年「61GS V.F.A.」
V.F.A.とは「Very Fine Adjusted」の略。その冠通り、月差±1分以内という機械式時計としての極限までの精度を追求したモデルです。1969年は、セイコーアストロンの登場によって「クオーツ元年」となった時代。クオーツの信頼性はまだまだ低かったのですが、機械式時計は徐々に冬の時代を迎えようとしていました。
1969年「45GS V.F.A.」
第二精工舎製。「61GS V.F.A」と同様に月差±1分以内を実現させたモデルです。「61GS V.F.A」と比較すると、
1970年「56GS」
今までのモデルと比較しても格段に薄い自動巻きモデル。60年代セイコーを代表する人気モデル「ロードマチック」に使用された56系のキャリバーをさらに進化させました。
1970年「61GSスペシャル」
元々のGS規格よりもさらに厳格な基準によって製造されたモデルです。精度、デザインともにグランドセイコーの最高峰の高級腕時計といえます。6時位置のロゴの下にある「SPECIAL」が特徴です。
クオーツの新時代
10振動モデル「V.F.A.」によって、月差1分以内を実現させたのと同時期に、セイコーは世界初のクオーツ式腕時計を生み出しました。機械式時計と比較して高精度・小型化・リーズナブルと三拍子そろったオーツムーブメントは瞬く間に世界中へと広がり、腕時計業界に大きな衝撃を与えました。クオーツショックとも呼ばれたこの出来事により、機械式腕時計は徐々に影をひそめるようになりました。機械式腕時計にこだわりを持っていたグランドセイコーも1975年には生産終了となりました。
しかし、13年後の1988年。グランドセイコー初のクオーツムーブメント9F系を搭載した腕時計「95GS」が誕生しました。年差±10秒という高精度に加えて、耐温度特性、耐湿度特性、耐衝撃性能のすべての面において優れた水晶振動子を使用したことで、当時の最高峰の精度を実現しました。
1988年「95GS」
「グランドセイコー」を復活させた年差クオーツ。現在のグランドセイコーにも近い雰囲気がありますね。年差±10秒という9F系クオーツムーブメントを搭載。高品質の水晶振動子が使用されています。
1989年「8NGS」
95GSの実用性を高めたモデルです。10気圧防水が搭載されています。
1992年「3FGS」
95GSの誕生から4年後、更なる小型化を成功させたモデル。女性用クオーツとして、初めて年差精度(年差±10秒)を可能にしました。
究極のクオーツ誕生へ
前編はこちらまで。究極のクオーツの誕生から現在のグランドセイコーに至るまでの続きは、2022年6月16日に公開いたします。