クンツァイトとはどんな宝石？

2021年に新たに９月の誕生石として追加されたクンツァイト。スポジュメンという鉱物の変種で、桃色や紫色のものはクンツァイト (kunzite) 、黄緑色や緑色のものはヒデナイト (hiddenite) 、黄色のものはトリフェーン (triphane) と呼んでいます。クンツァイトの名は著名な鉱物学者ジョージ・フレデリック・クンツにちなんで名づけられました。

「夕べの宝石」と呼ばれるライラックピンクの宝石
ほんのり紫がかった繊細なピンク色は、微量のマンガンによるものです。太陽の紫外線に当てた後で暗いところへ持っていくと光を放つ「燐光性」と、角度によって見える色が違う「多色性」という二つの特徴を持っています。これらの性質は石が大きくなるほど顕著になります。夜の白熱灯の温かな照明のもとで輝きが生きるため「夕べの宝石」とも呼ばれています。クンツァイトのはかないような淡いピンクは日光に長時間さらされると色あせてしまうため、太陽の光が直接あたらないように保管するのがおすすめです。これはクンツァイトに含まれるマンガンが光や熱で退色しやすいためです。

クンツァイトの仲間たち
スポジュメンの各色のうち、トリフェーンはブラジルで1877年に、ヒデナイトはアメリカで1879年に、クンツァイトは1902年にそれぞれ発見されています。トリフェーンという名前はギリシャ語で三つの顔を意味し、ヒデナイトは、アメリカの鉱物学者であるウイリアム・アール・ヒデンにちなんで名づけられました。クンツァイトを産出するペグマタイトは商業利用可能なリチウム資源が豊富に含まれたリチウム鉱物です。