サロン・ド・サセイオンモール小山店では、
2022年6月12日(日)・13日(月)の2日間、「アンティークジュエリーフェア」を開催いたします。
そこで今回はアンティークジュエリーの魅力について、当社とも親交の厚い宝飾史家の山口遼先生に以前お伺いしたお話をもとにご紹介したいと思います。
アンティークジュエリーは製造後100年を過ぎたものをさします
アンティークジュエリーの定義とは、製造後およそ100年を経過したジュエリーを指します。
19世紀後半までは電灯がなかったので、輝きに価値のあるダイヤモンドジュエリーは人気がなく、カラーストーンや真珠がもてはやされていました。
20世紀に入り電灯が街や室内を照らすようになると光に反射して美しく輝くダイヤモンドの価値が高まります。
現代のダイヤモンドはカットの面数を増やすことで美しい光を出していますが、アンティークのダイヤモンドはダイヤモンド自体の質が高く、少ないカットでも煌めきを放つため、女性を美しく演出する夜の盛装ジュエリーとして愛用されるようになります。17世紀のダイヤモンドはローズカットが主流で、ラウンド・ブリリアントカットが誕生するのは20世紀に入ってからです。19世紀までの主流はルビー、サファイア、エメラルド、アメシスト、シトリン、ガーネット、パール、オパールなどの宝石が中心でした。
また、カボションカットを施したものが多く用いられており、18世紀のジュエリーの地金素材は、イエローゴールドとシルバーが主流でした。シルバーはダイヤモンドの周囲に使用することが一般的でしたが、19世紀末にはプラチナが使用され始めます。エドワーディアンやベル・エポック時代のアンティークジュエリーには、プラチナが主に用いられています。貴金属に釉薬を乗せて高温で焼き上げるエナメルを用いたジュエリーにも優れたものがたくさんあります。
製作年によって分類される様式名には次のようなものがあります。
◆ジョージアン(1714年~1837年)
愛する人へのメッセージを込めた「リガードリング」や「ディアレストリング」、ロケットに髪の毛を入れたりする「センチメンタル・ジュエリー」が流行しました。
◆ヴィクトリアン(1837年~1901年)
中世の時代のリバイバルや自然主義、耽美主義が流行します。
◆エドワーディアン(1901年~1910年)
フランスのベルエポック時期となるデザイン。
南アフリカでダイヤモンド鉱山が発見され、ダイヤモンドの人気が上昇します。
◆アール・ヌーヴォー(1895年~1920年)
ヨーロッパを中心に国際的に発展した新しい芸術を意味する美術運動。
自由な曲線と繊細なデザインが流行しました。
◆アール・デコ(1925年~1939年)
アール・ヌーヴォーとは対照的な直線で作られたデザインが流行します。
幾何学模様にダイヤモンドや色石を配し、キュビズムから影響を受けたスタイルを表現しました。
奥深いアンティークジュエリーの魅力
アンティーク・ジュエリーの面白さは、使われている素材、デザイン、作りの三つの面で今のジュエリーにはなかなか見られないユニークな特徴があることです。
わずか100年ちょっとの間に、これほどに違うのか、そして、どうしてこれほどに優れたものができたのかと、ジュエリーに見飽きた人でも感動するほどの違いがあることでしょう。
現在の商品と違い、基本的に受注生産で作られたものが多いので、同じものが沢山あると言うことはありません。
自分だけのジュエリー、それがアンティークです。
そして、それぞれが今のものと明らかに違う、なんとも不思議な作品もあれば、恐ろしく精密に作られたもの、奇抜な素材、いまでは復元できないものなど、その背景や物語を楽しむことができるのが魅力でもあります。
アンティークジュエリーを選ぶときのポイントとは?
アンティークジュエリーの背景にはすべて物語があります。
作りや素材がいかに珍しいものか、いつごろどこで作られたのかなど、さまざまなエピソードを楽しむのがアンティークです。
ぜひ、一つ一つのジュエリーにまつわるお話しを楽しんでください。
ご自分で使いたくなる美しさや面白さのあるものが求めるべきものです。
100年の時を超えて今、あなたのもとに。運命の出会いがありますように。
アンティークジュエリーによく使われた宝石は?
ガーネット
古くから魔除や護符としても用いられてきたガーネットは、アンティークジュエリーにもたくさんの作品がある宝石の一つです。
ガーネットには古くから色々な言い伝えがあり、「ノアの箱舟の灯として暗闇を照らした」という伝説もあります。古代の人々には深い赤色が疫病に効果があると信じられていたといいます。また権力の座につくとされたことから、支配者層に好まれていました。硬度が比較的高くカラーバリエーションも豊かなガーネットは、指輪やブローチ、ピアス、ブレスレットなどさまざまなジュエリーに使われてきました。
赤のイメージが強いガーネットですが、実はたくさんのカラーバリエーションがあります。
ワインレッドのアルマンダイトガーネット、鮮やかな赤色のパイロープガーネット、アンティークジュエリーに多く見られる紫がかった赤色のロードライトガーネット、美しいオレンジ色のスペサルティンガーネット、翡翠に似たグリーンのグロッシュラーガーネット、強い輝きを持つ黄緑色のデマンドガーネットなどが代表的です。
ガーネットの宝石言葉は「真実」「情熱」「友愛」「繁栄」「実り」。
サファイア
アンティークジュエリーの中でも人気が高いのがブルーサファイアを使った作品です。ルビーと同じコランダム系の鉱物であるサファイアは、赤いものをルビー、その他はすべての色名を冠してサファイアと呼んでいます。ピンクサファイア、イエローサファイア、オレンジサファイアなどです。コランダムは本来無色の鉱物ですが、ある種の元素が不純物として取り込まれることで、数多くの美しい色を持つサファイアとなります。
サファイアの宝石言葉は「成功」「慈愛」「誠実」「真実」「徳望」。
ルビー
古くからルビーは「王位」を象徴する石として権力者に好まれてきました。サファイアなどと同じコランダムの中から赤色のものをルビーと呼んでいます。ラテン語で赤を意味する「ruber」が名前の由来で、欲望、情熱、権力の象徴であり、永遠の愛を象徴する宝石であるといわれています。アンティークジュエリーで使われたルビーはスリランカ産やミャンマー産、とくにモゴック地方の鉱山で採掘されたものが良質です。
ルビーの宝石言葉は「純愛」「情熱」「良縁」「勇気」「勝利」。
エメラルド
「愛の石」としても有名なエメラルドは、アンティークジュエリーでも貴重な宝石の一つです。エメラルドは人類最古の宝石とも言え、その歴史は紀元前4000年前のバビロンまで遡ります。バビロニア帝国の首都バビロンでエメラルドは「ヴィーナスに捧げる宝石」として取引があったという文献が残っています。またエジプトの女王クレオパトラもエメラルドの魅力に取り付かれた一人。自らエメラルド鉱山を所有し、ジュエリーや化粧品の原料としていたと言われています。
エメラルドの宝石言葉は「幸運」「希望」「誠実」「夫婦愛」「安定」。
【アンティークジュエリー展のご案内】
◆と き 2022年6月12日(日)〜13日(月)10:00〜19:00
◆ところ サロン・ド・サセイオンモール小山店
◆19世紀から20世紀初頭にかけてヨーロッパで作られた宝飾品約200点を一堂に展示・販売いたします
◆山本富士実 G.I.A.G.G(米国宝石学会 宝石鑑定鑑別士・英国骨董協会LAPADA会員)が厳選。ロンドン、パリから到着した素敵なジュエリーをご紹介いたします。