63年ぶりに誕生石が改訂され、新たに10石の誕生石が加わったことが話題になりました。
これは2021年12月、全国宝石卸商協同組合が制定し、日本ジュエリー協会、山梨県水晶宝飾協同組合が追認したもので、アメリカの宝石商組合が定めた誕生石をもとに、日本独自の文化や歴史的背景を加味して改訂された画期的な改訂です。これにより日本で統一された「誕生石」が揃ったと言えます。
1月 ガーネット、
2月 アメシスト、クリソベリルキャッツアイ
3月 アクアマリン、サンゴ、ブラッドストーン、アイオライト
4月 ダイヤモンド、モルガナイト
5月 エメラルド、ヒスイ
6月 真珠、ムーンストーン、アレキサンドライト
7月 ルビー、スフェーン
8月 ペリドット、サードオニックス、スピネル
9月 サファイア、クンツァイト
10月 オパール、トルマリン
11月 トパーズ、シトリン
12月 ターコイズ、ラピスラズリ、タンザナイト、ジルコン
赤い文字で表示してあるのが新たに追加された誕生石です。
新・誕生石一覧(従来の誕生石と新たに加わった誕生石)
1月
ガーネット
ガーネットは古代から良く知られている⾚⾊だけではなく、近年では多くのカラーバリエーションが知られている宝⽯です。和名は柘榴(ざくろ)⽯と呼ばれています。アルマンディンとパイロープとロードライトは紫⾊から⾚⾊、スペサルティンとヘソナイトはオレンジ⾊、デマントイドとツァボライトは緑⾊、グロシュラーは無⾊をはじめ様々な⾊があります。
2月
アメシスト
アメシストは紫⾊のクオーツの事であり、和名は紫⽔晶と呼ばれています。歴史が古く、ギリシャ神話の中で酒の神バッカスがアメシストという名の少⼥を⽔晶に変えてしまい、ぶどう酒をその⽔晶にかけると紫⾊になったという逸話が残っております。⾝に着けるとお酒に酔わないと⾔われており、世代を超えて愛されている宝⽯です。
クリソベリル・キャッツアイ <NEW>
クリソベリル・キャッツアイは鉱物名クリソベリル(⾦緑⽯)のシャトヤンシー(キャッツ・アイ効果)を持つ宝⽯です。和名では猫⽬⽯と呼ばれています。キャッツアイ効果を⽰す宝⽯は様々ありますが、クリソベリルは最も美しい⽬が出ることで知られています。
3月
アクアマリン
アクアマリンはエメラルドと同じ鉱物名ベリル(緑柱⽯)の海⽔⻘⾊の変種です。アクアマリンはラテン語の海⽔(aqua marina)を意味する⾔葉に由来します。古くから⼈⿂の宝物と⾔われ、船乗り達の御守りとされてきました。アクアマリンは⽐較的、無傷で⼤粒の⽯が産出されています。海⽔⻘⾊が濃いほど良質とされています。
ブラッドストーン <NEW>
ブラッドストーンは濃緑⾊の地に⾚⾊の斑点があるジャスパーです。歴史が古く⼗字架に架けられたイエス・キリストの⾎がジャスパーの上に垂れて出来たと伝えられています。またヘリオトロープ(heliotrope)太陽を呼び戻す⽯とも呼ばれています。
サンゴ
サンゴは⽣物起源の宝⽯の⼀つです。サンゴ礁のサンゴとは別の種類です。⾊は⽩⾊、桃⾊、⾚⾊などがありますが、最良のもは濃い⾚⾊(⾎⾚サンゴ)とされています。枝珊瑚の置物は拝⾒という名称でも呼ばれています。主な産地は⾼知県沖、⼩笠原諸島沖、沖縄県沖、地中海沖などです。
アイオライト <NEW>
アイオライトは鉱物名コーディエライトの⻘⾊の変種です。アイオライトはギリシャ語のios(紫⾊)とliyhos(⽯)に由来しています。和名で菫⻘(きんせい)⽯です。強い三⾊の多⾊性があり、⽅向により⻘紫⾊、灰⻩⾊、淡⻘⾊がみられます。コーディエライトは地質学者ピエール・ルイ・アントワーヌ・コルディエに因んで名付けられました。
4月
ダイヤモンド
ダイヤモンドは⾔わずと知れた宝⽯の王様です。モース硬度が10でダイヤモンドより硬いものはありません。古代ギリシア語の征服できない(adámas )に由来しダイヤモンドと名付けられました。和名で⾦剛⽯と呼ばれています。屈折率が⾼く分散度も⾼いためキラキラと輝く性質を持っています。無⾊透明なイメージがありますが、ファンシーカラーと呼ばれる様々な⾊のダイヤモンドもあります。
モルガナイト <NEW>
モルガナイトは鉱物名ベリルの変種で、ピンク⾊から淡紫⾊の⾊合いを持つ宝⽯です。ペグマタイト鉱床で産出され⽐較的、無傷で⼤粒の⽯が産出されています。⽇本を代表する桜の花の⾊合いを持ち合わせています。1911年にアメリカのモルガン財閥の創始者であるジョン・ピアポント・モルガン に因んで名付けられました。
5月
エメラルド
エメラルドは鉱物名ベリルの緑⾊の変種です。和名は緑柱⽯と呼ばれています。エメラルドは様々な効能があると信じられており、また美しい⾊合いを持つので古代から愛されてきた宝⽯の⼀つです。エメラルドはクレオパトラが最も愛した宝⽯ でと⾔われており、世界最古のエジプトのエメラルド鉱⼭には彼⼥の名前が付けられています。
ヒスイ
ヒスイは主にヒスイ輝⽯(ジェイダイト)から成る岩⽯で、良質なものは宝⽯として珍重されています。良く知られている⾊は緑⾊ですが、藤⾊、橙⾊、⿊⾊など様々な⾊があります。⽇本では縄⽂時代の遺跡から翡翠(ひすい)の装飾品などが発掘されており、古くから愛⽤されてきた歴史があります。2016年には⽇本の国⽯が翡翠に制定されました。
6月
真珠
真珠は⽣物起源宝⽯ならではの神秘性を持ち、真珠特有のテリと呼ばれる光沢は光の⼲渉作⽤によるものです。その昔、真珠は天然のものしかなく驚くほど⾼価でした。しかし、近代において御⽊本幸吉が商業的な真円真珠の養殖に成功し⾝に着けられるジュエリーとなりました。
ムーンストーン
ムーンストーンは⻑⽯の⼀種で、和名は⽉⻑⽯と呼ばれています。主にカボションカットに加⼯され、無⾊透明〜乳⽩⾊の地に美しい⽩⾊や⻘⾊閃光がみられ、⻘⾊閃光の場合ブルー・ムーンストーンとも呼ばれています。地⾊がオレンジ⾊のものもあり、またキャッツアイ効果を⽰すもこともあります。
アレキサンドライト <NEW>
アレキサンドライトは鉱物名クリソベリル(⾦緑⽯)の⾊変わりをする変種です。太陽光下では⻘緑⾊で、⼈⼯照明(⽩熱灯)下では⾚紫⾊になります。変⾊の程度が明瞭であるほど貴重とされています。変⾊効果に加えてキャッツアイ効果を⽰すものもあり、アレキサンドライト・キャッツ・アイと呼ばれています。ロシア皇帝アレクサンドル2世に因んで名付けられました。
7月
ルビー
ルビーはラテン語で⾚を意味するルベウス (rubeus) に由来し、鉱物名コランダムの⾚⾊の宝⽯変種です。和名では紅⽟と呼ばれています。最良の⾊は商業的にピジョン・ブラッド(鳩の⾎)と称され流通しています。カボションカットに加⼯され光を当てると六条の線が現われスタールビーと呼ばれるものもあります。
スフェーン <NEW>
スフェーンは結晶の形がくさび状になるためギリシャ語の楔(くさび)を意味するスフェノス(sphenos)に由来し、和名では 楔⽯と呼ばれています。楔はふたつのものを固く繋ぎ合わせる絆(きずな)の意味も持ちます。屈折率が⾼く、多⾊性も強いためカットされると⾮常に魅⼒的な宝⽯となります。特に緑⾊のスフェーンは鮮やかで美しいです。
8月
ペリドット
ペリドットは鉱物名オリビンであり、和名ではカンラン⽯と呼ばれています。ペリドットは歴史が古くエジプトでは太陽の宝⽯と呼ばれ、ファラオたちの王冠や装飾品に使⽤されていました。宇宙にも存在し、⽯鉄隕⽯などに含まれることもあります。近年ではハワイ島で⽕⼭が爆発しペリドットが降ってきたことが知られています。
スピネル
スピネルはルビーやサファイヤと外観が似ており、産出場所も同じため古くから混同されてきました。スピネルは結晶の先端が尖っているためトゲを意味するラテン語のspinella、に由来し名付けられ、和名も尖晶⽯と呼ばれています。⾊は⾚⾊、ピンク⾊、紫⾊、⻘⾊などがあり、近年⼈気の宝⽯です。
サードニクス
サードニクスまたは(サードオニキス)はカルセドニーの⼀種で、鮮やかな橙⾚ ⾊の地に⽩⾊の縞状模様があるものを指します。和名で紅縞瑪瑙とも呼ばれています。縞⽬模様が⽖の⽩い部分と似ているためラテン語で⽖を意味するオニキス(onxy)が語源となっています。
9月
サファイア
サファイヤは鉱物名コランダムの⾚⾊(ルビー)以外の宝⽯変種です。ブルー以外にも様々なカラーバリエーションがあります。その中でもややオレンジ⾊を帯びたピンク⾊のサファイヤはパパラチア・サファイヤと呼ばれています。スター効果やカラーチェンジ効果を⽰すものあり様々なジュエリーに加⼯され、いつの時代でも⼈気がある宝⽯です。
クンツァイト <NEW>
クンツァイトは淡紫⾊から紫⾊の鉱物名スポジュメンの変種です。濃⾊のものには⽅向によって紫⾊、ピンク⾊、無⾊の多⾊性を⾒ることができます。クリアで鮮やかなピンク⾊は⼈々を魅了させる事のできる宝⽯です。1902年に発⾒され、鉱物学者ジョージ・フレデリック・クンツにちなんで名付けられました。
10月
オパール
オパールは遊⾊効果と呼ばれるきらきらと浮遊するような虹⾊の輝きが特徴的な宝⽯です。ホワイトオパール、ブラックオパール、ボルダーオパール、メキシコオパール、ハイドロフェーンオパールなど様々な種類のオパールが存在し、個々の煌めきが同じものがないと⾔われるほど多彩な⾊合いを持つ宝⽯です。
トルマリン
トルマリンは⾊のバリエーションが最も豊富な宝⽯です。和名を電気⽯と⾔い、擦ると帯電する性質を持ちます。ネオンカラーが特徴的なパライバトルマリンや鮮やかな⾊合いのルベライト、インディコライト、パーティーカラー、ウオーターメロン・トルマリンなどがあり、好みの⾊を選べる事のできる宝⽯です。
11月
トパーズ
トパーズの歴史は古く紅海のトパソス島(Topasos)に因んで名付けられたと⾔われています。トパーズは⼀般的に⻩⾊が良く知られており、和名では⻩⽟と呼ばれています。⻩⾊以外にもブルー、ピンク、ゴールデン、インペリアルトパーズ(シェリーカラー)などの様々な⾊があります。鮮やかなブルー・トパーズは通常着⾊処理が施されています。
シトリン
シトリンは⻩⾊のクオーツの事であり、和名で⻩⽔晶と呼ばれています。シトリンの歴史は古く、果実のシトロン(citron)の実の⾊に由来していると⾔われています。ほとんどのシトリンは通常アメシストを加熱処理をすることによって得られています。シトリンは⽐較的、⼤粒な⽯が得らるため、様々なカット形状がみられ、彫刻の素材としても利⽤されています。
12月
トルコ石
トルコ⽯は鮮やかな⻘⾊が神秘的であるため5000年前から装飾品として使⽤されてきました。その昔ペルシャで採掘されたものがトルコを経由してヨーロッパに持込まれたためトルコ⽯と呼ばれるようになりました。天然のトルコ⽯に混在して、模造品も数多く流通しています。
ラピスラズリ
ラピス・ラズリは⼈類が利⽤してきた最古の鉱物で、6000年前から使⽤されてきたといわれています。美しい濃⻘⾊が特徴的できらきら輝くパイライト(⻩鉄鉱)が含まれていることもあります。和名では瑠璃(るり)と呼ばれています。顔料でも有名で瑠璃⾊はこれに由来しています。ツタンカーメンの⻩⾦マスクにもラピス・ラズリが使⽤されています。
タンザナイト <NEW>
タンザナイトは鉱物名ゾイサイトの⻘⾊の宝⽯変種であり、1967年にタンザニアで発⾒され、国の名前にちなんでタンザナイトと名付けられました。多⾊性が強く、⾒る⽅向によって⻘紫⾊、⻘⾊、ピンク⾊を⾒ることができます。キャッツアイ効果を⽰すものもあります。タンザナイトは20世紀に発⾒され⼈気となった新しい宝⽯です。
ジルコン <NEW>
ジルコンの名称は⾦⾊を意味するペルシャ語に由来するといわれていますが、⻩⾊〜⾚⾊のジルコンは花の名前ヒヤシンスとしても知られていました。そのため和名では⾵信⼦(ヒヤシンス)⽯と呼ばれ親しまれています。屈折率が⾼く、輝きが強いため古くからダイヤモンドの代⽤品として利⽤されてきましたが、⼈造⽯であるキュービック・ジルコニアとはまったくの別の物です。
新たに加わった誕生石がどんな宝石なのかご紹介しましょう。
日本オリジナルで新しく誕生石として追加した宝石について
2月 クリソベリルキャッツアイ <NEW>
クリソベリル・キャッツ・アイはクリソベリル(金緑石)のシャトヤンシー(キャッツ・アイ効果)を持つ古くから知られている宝石です。
和名で猫目石と呼ばれています。
2月22日は日本では猫の日 2月17日はヨーロッパの多くの国がWorld Cat Day(世界猫の日)としている日です。
非常に有名な宝石であり、目がでるなど良い意味も含み、また猫に関連するため、2月の誕生石としました。
3月 ブラッドストーン <NEW>
ブラッドストーンは深いグリーンに赤い斑点のある半透明の玉髄で、ジャスパーの仲間です。
名前の由来は赤い斑点が血を連想させることから。
3月 アイオライト <NEW>
アイオライトは鉱物名コーディエライトの青色の変種です。
アイオライトはギリシャ語のios(紫色)とlithos(石)に由来しているとされています。
和名で菫青(きんせい)石です。強い三色の多色性があり、方向により青紫色、灰黄色、淡青色がみられます。
コーディエライトは地質学者ピエール・ルイ・アントワーヌ・コルディエに因んで名付けられました。
モース硬度も77.5と高く、綺麗な宝石であり、彼の誕生月が3月なので、3月の誕生石としました。
4月 モルガナイト <NEW>
モルガナイトは鉱物名ベリルの変種で、ピンク色から淡紫色の色合いを持つ宝石です。
モルガナイトは比較的、無傷で大粒の石が産出されています。
1911年にアメリカのモルガン財閥の創始者であるジョン・ピアポント・モルガン に因んで名付けられました。
彼の誕生月が4月であり、日本を代表する桜の花の色合いを持ち合わせているため、4月の誕生石としました。
6月 アレキサンドライト <NEW>
光源により色が変わる変色特性を持つアレキサンドライトは、太陽光線下では深いグリーン、白熱電球下では赤紫に変化するのが特徴で「昼のエメラルド」「夜のルビー」と称され人気があります。
7月 スフェーン <NEW>
スフェーンは鉱物名チタナイトとも言います。
結晶の形がくさび形になるためギリシャ語の楔(くさび)であるスフェノス(sphenos)に由来し名付けられました。
そのため和名で楔石と呼ばれています。
楔はふたつのものを固く繋ぎ合わせる絆(きずな)の意味も持ちます。1787年にマーク・オーガスト・ピクテによってスフェーンが新種の鉱物として初めて認識されました。スフェーンは輝きが強く日本の夏の森のような色合いを持ち、彼の誕生月が7月であるため、7月の誕生石としました。
8月 スピネル <NEW>
ラテン語で棘を意味する「Spina」がその名の由来のスピネル。原石は鋭利な正八面体の結晶です。
ルビーと誤認されてきた歴史を持ち、バチカンやロシア、イラン、イギリスなどの王家の宝石コレクションにも数多く収蔵されています。
9月 クンツァイト <NEW>
クンツァイトは鉱物名スポジュメンのうち、ピンク色から紫色をした変種です。
多色性があり、色の濃いものでは方向により紫色、ピンク色、無色の三色がみられます。
1902年に発見され、鉱物学者ジョージ・フレデリック・クンツにちなんで名付けらました。
澄んだ透明感のあるピンク色は人々を魅了させる事のできる宝石です。
彼の誕生月が9月であることに因んで、9月の誕生石としました。
12月 タンザナイト <NEW>
バナジウムを含む青色のゾイサイトで、多色性という特徴を持つ青紫の美しい宝石タンザナイト。
「タンザニアの夕暮れ」という意味の造語であるタンザナイトは1967年に東アフリカのタンザニアで発見され、宝石商のティファニーが命名しました。
雄大なアフリカの空を思わせる神秘的なブルーの色合いで、世界中の愛好家を虜にしています。
12月 ジルコン <NEW>
強い輝きを持ち、さまざまなカラーバリエーションがあることで知られるジルコン。
ジルコニウムのケイ酸塩鉱物で、和名は風信子(ヒヤシンス)石。
古代ペルシャ語で金を意味するzarと色を表すgunが名前の由来といわれています。
出典元:全国宝石卸商協同組合 誕生石改訂事業より
選択肢の増えた誕生石でジュエリーを探す
誕生石のバリエーションが増えたことで、ジュエリー選びの際の楽しみも増えました。
お気に入りの誕生石を使ったリングやペンダントはもちろん、
結婚指輪の内石などに誕生石のニューフェイスを使うのも新鮮です。
ぜひ新しい誕生石でカラーストーンのバリエーションをお楽しみください。